和包丁の魅力と種類
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「和包丁の魅力と種類」
・和包丁の魅力とは
・和包丁の種類
・和包丁から感じる日本人の感性
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美味しい料理を作るのに欠かせない包丁は、大きく2種類に分けられます。それが和包丁と洋包丁です。
和包丁は「和」というだけあって、日本独自の文化とともに進化してきたものです。
日本でお寿司屋さんや和食屋さんに行くと、よく板前の方が長くて大きな包丁を使っているのを目にします。見ているだけでわくわくして「何の料理が出てくるんだろう?」と期待に胸が膨らむ瞬間。私はその調理姿を見ることが大好きで、お店では必ずといっていいほどカウンター席に座ります。そうやって出していただいた料理はとても美しく、美味しさ以上の感動があります。
昔から「調理人の気持ちが映し出される」といわれる包丁ですが、食に対してこだわりの強い日本では、ひとつの料理を仕上げるために豊富な種類の包丁が使い分けされます。
・和包丁の魅力とは
和包丁は日本独自の文化とともに変遷してきた包丁で、魚や野菜を切ることを目的に進化しています。
日本刀を原型に作られた和包丁は特殊な場合を除き、片方の面にのみ刃がついている「片刃」が基本。世界的に認められている鋭い切れ味を持ち、食材に対して斜めに刀を入れて切ることで、断面を美しく切断することができます。
また同じ包丁を長く使い続けていると、柄が劣化してしまうことはありませんか?和包丁は主に、持ち手である柄の部分に茎(なかご)を差す差し込み式。
「刃はまだまだ使えるのにもったいない…」と思っても、柄の部分のみ交換することができます。柄に名入れをして人に贈ったり、自分好みの柄を取り付けたりすることも可能です。
ひとつのものを大切に、そして長く使うという日本の精神も感じられるのが和包丁の魅力です。
・和包丁の種類
和包丁は長い歴史とともに、和食の文化と寄り添いながら独自の進化を遂げてきました。
単に切る・刻むなどといった用途だけでなく、日本食を美味しくかつ綺麗に仕上げるための大切な道具として使用されてきたのです。
細かい作業の連続であり、繊細さや正確さが重視される日本食作りにおいて、包丁の切れ味や使い勝手は何より大切な要素です。
そのような背景も相まって、様々な用途に対応する最適な包丁が生まれていきました。
・出刃包丁
魚をさばくための包丁で、ずっしりとした重みと厚みが特徴です。包丁自体の重さを利用し、魚の頭を落としたりたたききったりする際に用いられます。
・小出刃包丁
出刃包丁より一回り小さなもの。比較的身が厚い小魚のおろしや骨切りに使用されます。
・刺身包丁
刀の形が柳の葉に似ていることから、「柳刃包丁」とも呼ばれています。関西型の包丁で先が尖っており、生の魚介類を切り身にする際用いられます。刺身の断面を綺麗に美しく、そして鮮度を保つために素早く切れる包丁です。
・蛸引き包丁
先の尖っていない関東型の刺身包丁。手前に引いて切る、いわゆる引き切りという方法で使用されるため、出刃包丁と比べ刃渡りが長くなっているのが特徴です。
・舟行包丁
もともと漁師が船上で使用するために作られたもの。限られたスペースで作業しやすいよう、刃が薄くて軽く扱いやすい形状になっています。出刃包丁と刺身包丁、両方の魅力を兼ね備えており、魚を下ろしたり野菜を切ったりと用途が広いのが特徴です。
・薄刃包丁
野菜専用包丁として使われる、刃先が角型になっている関東型の包丁です。和食では、野菜を切る・刻む・桂剥きにする・飾り切りをする などの工程がありますが、薄刃包丁は刃が広く薄いため、それらに対応できるのが魅力です。
・鎌型包丁
薄刃包丁が関東型なのに対して、関西型の包丁が鎌型包丁です。薄刃包丁と同様野菜の調理に使用され、刃先が丸みを帯びた鎌型になっていることから名付けられています。
・菜切包丁
軽くて扱いやすく、主に野菜を切る際使用されます。三徳包丁が主流になる前、一般家庭に広く普及していた包丁のひとつが菜切り包丁です。両面に刃が付いており食材に対して垂直に下ろすことができ、千切りや桂剥きなどがしやすい形状になっています。
・麺切り包丁
その名の通り、そばやうどんなど麺類を切る際使用される包丁です。重さを利用し前方に押し出すように切ります。
・和包丁から感じる日本人の感性
単なる調理器具ではなく、日本食を美味しく美しく仕上げ、人の心に残る一品を作り上げることに欠かせないものが、日本の和包丁だと思います。
もともと武士の国であった日本の「刀」に対するこだわり、そして日本食という長い歴史を誇る伝統文化。さらにおもてなしの心という日本独自の感性が、和包丁から感じられるのではないでしょうか。